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柴田哲孝『暗殺』を読む【元号に込められた意図と日本の裏側】

暗殺

明けましておめでとうございます!今年もどうぞよろしくお願いいたします。

柴田哲孝さんの話題作『暗殺』を読みました。この小説はフィクションながら、安倍晋三元総理の暗殺事件を思い起こさせる描写が多く、日本の政治や歴史に潜む複雑さについて深く考えさせられる内容でした。

暗殺場所は、近鉄大和西大寺駅北口のT字路にある台形のゼブラゾーンです。作中に登場する「キョウワタウンビル」は、サンワシティ西大寺。

物語は、元総理「田布施博之」が大和西大寺やまとさいだいじ駅前で暗殺される場面から始まります。この「田布施」という名前は、山口県の田布施町を彷彿とさせ、その歴史的背景も物語の奥深さを感じさせます。

また、銃撃犯である「上沼卓也」という人物が登場し、彼の行動が単独犯とされる公式見解に対して、別のスナイパーが関与していた可能性が示唆される展開になっています。

さらに、作中では「令和」という元号に込められた意味についての新しい視点が語られます。「令」が本来持つ「掟」や「命令」といった意味と、「和」が「和人(日本人)」を指すという解釈が組み合わされ、この元号に隠された意図が物語の核に迫る形で描かれています。

物語はさらに、「合同教会」(統一教会を想起させる)や「赤報隊事件」、自衛隊や警察の内部関係者など、多くの要素が絡み合い、読み応えのある展開が続きます。

フィクションでありながら、現実の事件や背景にリンクする描写が多く、関連する事実を調べながら読み進めることで、物語への理解が一層深まります。

『暗殺』は単なるエンターテインメントに留まらず、社会や政治に対する問題提起としても意義のある作品だと感じました。

余談ですが、作中に登場する「キョウカイ」という言葉を、観ている任侠ドラマ『日本統一』の「侠和会」と誤読してしまいました(笑)。ちなみに、侠和会は「和」が入っていますね。狙撃場所となったビル名は「キョウワタウン」です。

『暗殺』は、日本の歴史や政治の裏側について深く考えさせられる作品でした。非常に充実した読書体験でした。かなりおすすめです。