ザイム真理教が根を張ってから約40年、国民やメディア、政治家に至るまで、このカルト教義は深く浸透しています。この現状から解放され、より自由な生活を手にするためには、一体何が必要なのでしょうか?
詳しくは本書をお読みいただければと思いますが、今回は特に私が気になった「宗教とカルト」「相続」に関する部分を取り上げて、皆さんと共有したいと思います。
宗教とカルトの違い
衝撃の授業
著者が大学時代に一番衝撃を受けたのは、笠原一男教授による「日本史」の授業でした。この講義は、日本史全体を網羅するものではなく、親鸞から日蓮まで、鎌倉時代の宗教に焦点を当てたものでした。特に興味深かったのは、日本の新しい宗教がなぜ時代の転換期に集中して誕生するのか、というテーマです。
笠原教授は、その理由を、転換期に起こる社会的混乱と庶民の生活困窮に求めています。経済の混迷と社会の動揺の中で、庶民は不安に苦しんでいました。そんな状況において、鎌倉仏教の創始者たちは「念仏さえ唱えれば、苦行などせずとも、極楽浄土に行ける」、そう唱えました。
たとえ虚構であっても「あの世」や「極楽浄土」を説き、信者に希望を与えることで、現世を前向きに生きられるよう導こうとしました。
さらに、宗教団体は信仰を抱かせるために、2つのタイプの説教を用います。1つは、「こういう行動をすれば、幸せになれる、天国に行ける」というプラス方向の説教、もう1つは、「こうしたら、あるいはこうしなかったら、不幸になる、地獄に落ちる」というマイナス方向の説教です。
精神的な支えを得ることで苦しみを少しでも緩和して、信者の「現世での」人生を少しでも豊かにしようと考えたのです。
カルトとは何か
カルトは、主に「マイナスの説教」で不安をあおり、恐怖を利用して人々を支配することから始まります。例として「悪霊がついている」や「原罪がある」という言葉で恐怖心を植え付け、その不安を解消する手段として献金や物品購入を強要します。
旧統一教会の問題を契機に成立した「高額寄付被害救済・防止法」では、禁止する「不当な勧誘行為」として以下の6点を掲げています。
- ①帰ってほしいと伝えても退去しない「不退去」
- ②帰りたいのに帰してくれない「退去妨害」
- ③勧誘することを告げず退去困難な場所へ連れていく
- ④威圧する言動を交え、相談の連絡を妨害する
- ⑤恋愛感情などに乗じ関係の破綻を告知する
- ⑥霊感などの特別な能力により、そのままでは重大な不利益が起こることを示して不安をあおり、契約が必要と告げる「霊感商法」
マインドコントロールにかかりやすいのは、なんらかの不安や不幸を抱えている人たちです。仕事も家庭も順風満帆という人は、そんな脅しには乗りません。正確な統計はないですが、カルト教団に支配されてしまう人は女性が多い。それは、女性が社会的に差別され、抑圧されていることが多いからです。
ただ、宗教とカルトの差を行動のパターンだけで区別するのは難しいです。カルトと同じようなことは、ふつうの宗教でも行なわれているからです。
たとえば、神社でお守りや破魔矢を購入する人は多いですが、その効果は科学的に証明されていません。それでも詐欺で訴えられないのは、購入者が100%の効果を期待しておらず、金額が少額だからです。問題が発生するのは、献金額が高額になる場合です。
中世のキリスト教では、献金さえすれば罪が許されるかのような風潮が生まれ、免罪符が乱発されるという事態が起こりました。そのことに宗教上の危機を感じたルターがカトリック教会と対立し、プロテスタントが生まれるきっかけとなりました。
ビジネスの世界でも、カルト的手法は、頻繁に使われています。コリンズとポラスが著した『ビジョナリー・カンパニー』では、50年以上繁栄を続ける企業を分析し、その共通点の一つに「カルトのような文化」があることを明らかにしました。
企業の存在意義や達成すべきことをはっきりさせて、「理念」を共有し、従業員を一体化させる手法が、カルトに似たものだとされています。ディズニーの「魔法の王国」という理念はその典型で、企業全体がこの理念を体現しています。たとえ理念が科学的に正しくなくても、皆が信じることで企業の一体感が生まれます。
宗教や企業とカルトの決定的な違いは、「信者の生活を破壊するかどうか」です。ディズニーランドが高額な入場料を取っても、借金を強要したり、生活を壊すような搾取はしません。しかし、カルトは信者の生活を破壊し、教祖や幹部が利益を独占する点が大きな違いです。
日本の財務省も、「カルトのような文化」を持っていることは間違いないといえます。
富裕層の相続税回避方法
小規模宅地等の特例とその活用
富裕層にとって、豪邸を相続する際に相続税を抑えることは大きな関心事です。通常であれば、相続する土地の価格は「路線価」で評価されますが、「小規模宅地等の特例」というのがあり、土地の面積100坪までは、評価額が80%減額されます。この特例は、以下の条件を満たす場合に適用されます。
- ①亡くなった人の配偶者
- ②同居の親族
- ③亡くなった人に配偶者がおらず、亡くなった人の法定相続人が同居しておらず、相続人が第三者所有の賃貸住宅に住んでいること
つまり、子どもが同居していれば、80%減額を受けられます。また、亡くなった人が単身で、子どもが賃貸住宅に住んでいる場合も適用されますが、自分の家を買った子どもは適用されません。
たとえば、都心にある100坪の土地付き一戸建てを相続する場合、土地の評価額が坪あたり1億円とすると、相続対象の評価額は100億円になります。ところが、その家に息子を住まわせておけば、相続財産の評価が20億円に減額され、80億円分が無税となります。
この「小規模宅地の特例」は、亡くなった人が事業用に使っていた土地や賃貸事業に使っていた土地にも適用されるため、富裕層の持つ不動産の評価を大きく減額して、富裕層の相続税を減額させる仕組みとなっています。
こうした税制の特例は無数にあり、有能な弁護士や税理士を雇える富裕層はこうした特例を活用した節税対策で納税を回避しています。
というわけで以上です。参考になれば幸いです😌