日本人は世界的に見ても睡眠時間が短い傾向がありますが、その影響をご存じでしょうか?最近の研究で、特に 「レム睡眠」 が脳や体の健康にとって重要な役割を果たしていることがわかってきました。
レム睡眠が不足すると、認知症のリスクが上がったり、ストレス耐性が低下したり、さらには寿命にも影響を与える可能性があるといわれています。
この記事では、レム睡眠の役割や、睡眠の質を上げる方法について詳しく解説します。日々の生活に少し工夫を加えて、より快適な眠りを手に入れましょう!
もくじ
- レム睡眠の重要性
- 睡眠の質を上げるポイント
- 眠れないときに試したい呼吸法とリラックス法
- 植物にも「睡眠」のような活動がある?
レム睡眠の重要性
私たちは毎日眠りますが、日本人は世界的に見ても睡眠不足の傾向があります。実は、睡眠の中でも 「レム睡眠」 が脳や体にとって非常に重要な役割を果たしていることが、近年の研究で明らかになっています。
レム睡眠が不足するとどうなる?
レム睡眠は脳の健康やストレス耐性、寿命にも深く関わる重要な睡眠段階。不足すると、以下のようなリスクが高まります。
- 認知症リスクが上がる
オーストラリアの研究では、60歳以上の人を対象にした長期調査の結果、レム睡眠が1%減るごとに認知症リスクが9%上昇することがわかっています。筑波大学の研究でも、レム睡眠が不足すると学習成績が低下することが確認されています。 - ストレス耐性が低下する
カリフォルニア大学の研究では、怖い画像を見た後、レム睡眠をとることで感情の動きが抑えられることが判明。レム睡眠がストレスのコントロールにも関係していることが示されました。 - 死亡率が上がる
2003年に始まった、ジャズ・ファーマシューティカルズのリアリー博士らによる、高齢男性を12年間経過観察した研究で、レム睡眠が5%減るごとに死亡率が13%上昇することが明らかになっています。
ノンレム睡眠もレム睡眠も質のよい睡眠に不可欠。一晩にまとめてしっかり眠るのが重要です。
睡眠の質を上げるポイント
睡眠の質を上げるには、「十分な睡眠時間の確保」と「深い眠り」が重要です。生活リズムを整え、食事やカフェインの摂取にも気をつけることで、より良い睡眠を手に入れましょう。
- 「寝だめ」するなら早寝遅起き
休日に長く寝るなら、就寝時間も早めて「睡眠中央時刻をずらさない」ことが重要。睡眠中央時刻(入眠と起床の中間時間)のズレは1時間以内にしましょう。 - 「ゴールデンタイム」にこだわらない
成長ホルモンは午後10時~午前2時だけでなく、深睡眠に達したときにちゃんと分泌されるので、時刻よりも、しっかり深い眠りを意識しましょう。 - 食物繊維をしっかり摂る
食物繊維を多く摂取すると 睡眠の質が向上し、歯ぎしりが少なくなることが研究で判明。 - カフェインは午後4時までに
カフェインは睡眠の質を下げるため、午後4時以降の摂取は控えるのが理想的。
日々のちょっとした工夫で、睡眠の質は大きく変わります。無理なく続けられる方法を取り入れ、快適な眠り を目指しましょう。
眠れないときに試したい呼吸法とリラックス法
眠りにはリラックスが大事!
身体が緊張していたり、不安を感じていると、なかなか寝つけません。そんなときは呼吸法や筋弛緩法を取り入れ、スムーズに眠りにつきましょう。
「15秒呼吸法」でリラックス
ゆっくりとした深呼吸で副交感神経を優位にし、心を落ち着けましょう。
- ① ゆっくり7~8秒かけて、鼻からめいっぱい息を吸う
- ② 7~8秒かけて息を吐く
- ③ ①・②の深い深呼吸を4セット行う(約1分で完了!)
ポイント
- 自分の心拍を数えながらやるとよい
- 腹式呼吸で全身がリラックスする
- 夜中に目が覚めたときにも効果的
それでも眠れなければ……
呼吸法を試しても10~20分以上眠れない場合は、一度布団から出て、ストレッチやマッサージなど、自分がリラックスすることをしましょう。緊張がほぐれる方法なら何でもOK。眠れないのに布団で延々と考え込んでしまうのは最もよくないので、眠気がきたときに寝床に戻りましょう。
寝つきがよくなる「筋弛緩法」
眠れないときにもう1つおすすめなのが、筋弛緩法(漸進的筋弛緩法)です。1930年代にアメリカの神経生理学者、ジェイコブソン博士が、不安を少なくするために考案したリクゼーション法です。
寝る前の筋弛緩法の効果(慢性不眠症の患者50人を対象に4週間実施)
- 寝付くまでの時間が短縮(63分 → 28分)
- 睡眠時間が増加(5.3時間 → 6.2時間)
- 熟睡感アップ(3.3点 → 4.9点 / 7点満点中)
筋弛緩法のやり方
身体に力を入れて緊張させたあと、一気に脱力する シンプルな方法です。
- 基本姿勢
- 手はひざの上に置く
- 足は肩幅に開き、足の裏を床につける
- ベッドがイスに浅く腰かける。イスの場合は背もたれに背中をつけない
- 手:ひじから先を太ももに乗せ、前に体重をかける
①手首をひざより前に出し、手のひらを上に向けて拳を握り、90度内側にひねって5秒間力を入れる
②力を抜いて手のひらを開き、15秒ほど手のひらから力が抜けた感覚に集中する - 腕:基本姿勢から、拳を軽く握って腕を曲げる
①拳を肩に引き寄せて脇を締め、5秒間力を入れる
②力を抜いて、手を太ももの上にすとんと落とす。15秒ほど静止して、腕から力を抜けた感覚を意識する - 肩
①腕を身体の横に下ろし、肩をぐっと持ち上げて5秒間力を入れる。どこに力が入ってるか意識する
②力を抜いて肩をすとんと落とす。力が抜けた感覚を15秒ほど意識する - 脚
①深く腰かけ、両ひざをくっつけた状態で両足を上げ、脚をまっすぐ伸ばす。足首を直角に曲げて、ふくらはぎを伸ばした状態で5秒間力を入れる
②力をすとんと抜いて脚を下ろす。力が抜けた感覚を15秒ほど意識する
最後に手、腕、肩、脚を全部組み合わせてから全身の力をすとんと抜き、1分間そのままの姿勢で身体の調子を意識する。
秒数はだいたいでOK。全部行ってもいいし、一部を組み合わせても効果が期待できます。
植物にも「睡眠」のような活動がある?
私たちヒトや動物にとって睡眠は欠かせませんが、 植物も昼夜(明暗)に合わせて周期的な活動を示します。これは動物の睡眠とは異なりますが、生物が適応するための重要な生存戦略といえます。
植物が夜間に行う活動
植物は夜になると光合成を停止し、成長や水分吸収など昼間とは異なる活動を行います。夜間の環境に適応することで、効率よくエネルギーを使っているのです。
- 光合成が停止する
- 成長が促進される
- 呼吸活動が活発になる
- 香りを放出することも
- 蒸発が低下し、水分を吸収しやすくなる
植物の「就眠運動」
マメ科の植物には、日が昇ると葉を開き、夜になると葉を閉じる種類があります。オジギソウなどが有名で、この働きを就眠運動と言います。18世紀に、就眠運動は光の当たらない環境でも働くことが確認され、日光によるものではないと判明。植物も、体内時計を持っていることがわかっています。
というわけで、以上です😌
植物を見るときは、夜の活動にも注目してみると面白い発見があるかもしれませんね。