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がん闘病日記【「がんに効く」と言われるもの、実際どうなのか?】

がん闘病日記

著者はがん公表後、周囲からさまざまなアドバイスが寄せられるようになった。特定の食品が効く、体を温めるといい、ある薬が劇的な効果をもたらす——。どれも善意からの言葉だが、その情報の多さに圧倒されることも少なくない。

医学的根拠がはっきりしないものもあれば、高額な治療法やサプリメントを勧める話もある。だが、結局のところ、「これさえやれば治る」という万能な方法は存在しない。

それでも、何かできることはあるのか?本当に有効な治療とは何なのか?がん治療に関する情報の整理と、実際に著者が試してみたことについて、今回の記事でまとめてみたい。

もくじ

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殺到する「がんの治し方」

書類の山

がん治療に関するアドバイスは、飲食物、体を温める方法、薬、医療機関の選択など、多岐にわたった。中でも「特定の食品が効く」という話が最も多かったが、医学的根拠が不確かなものも少なくなかった。

共通して感じたのは、「これさえやれば治る」といった万能の方法は存在しないということ。とはいえ、健康的な食生活がプラスに働くことは確かだ。

飲食物:「がんの治し方」アドバイス

がん治療に関するアドバイスで最も多かったのは、「特定の飲食物が効く」というものだった。以下に、推奨された食品と、それに対する著者の考えをまとめる。

  • 水:奇跡の水や重曹クエン酸水が推奨されるが、医学的根拠に疑問がある。
  • ビタミン:特にビタミンCやDが推奨されるが、低コストで本当に効くのか疑問。
  • キノコ:漢方でも使われるが、聞いたこともない高額なものには抵抗を感じる。
  • 種子:がん細胞を攻撃する成分があるとされるが、有害物質を含むものもある。
  • 穀物・野菜:玄米やブロッコリーが勧められるが、普段から多くの人が食べている。
  • 海藻:「もずく」が良いとされるが、沖縄のがん死亡率は平均的。
  • 乳酸菌:ヨーグルトやサプリが推奨される。
  • キチン・キトサン:免疫力向上が期待される。

共通するのは、健康的な食事の推奨であり、医師も「食べられている患者で死んだ人はいない」と語っていた。ただし、特定の飲食物が特効薬とは思えない。

著者はこのなかから、医師が開発したヨーグルトを通販で取り寄せてみた。効果はさておき、美味しかったので、毎日食べるのが習慣になっていた。

体を温める:「がんの治し方」アドバイス

「体を温めることががん治療に有効」という説があり、がん細胞は42℃以上で死滅すると言われる。しかし、その真偽は不明。

ただし、体温を上げることが健康に良いのは昔から知られ、日本には湯治の文化も根付いている。著者自身もカイロや長風呂、温泉を活用しているが、それによるがんの縮小は確認されていない。

イベルメクチン:「がんの治し方」アドバイス

イベルメクチンは、大村さとし教授とアメリカのメルク社の共同研究で開発された抗寄生虫薬で、新型コロナ治療への効果も期待されたが、有意な効果は見られないという結論になった。

近年、一部の医療関係者の間でがん治療への効果が注目され、海外から通販でイベルメクチンを取り寄せて服用する人もいる。しかし、主治医によると副作用があり、効果も不確かだったため、著者は服用を断念した。

名医がいるクリニック:「がんの治し方」アドバイス

がん治療の名医がいるクリニックの情報は多く寄せられたが、提案された医療機関は自宅から遠く、受診は考えなかった。

脳神経外科のように手術の技量が問われる分野はあるが、がん治療の多くは抗がん剤による化学療法や放射線治療によるため、医師の技量による大きな差は生まれにくいと考えた。

がん治療とお金

がん治療とお金

がん治療には高額な医療費がかかるが、「標準治療(保険診療)」と「自由診療(全額自己負担)」では負担額が大きく異なる。標準治療なら高額療養費制度を活用できるが、自由診療では全額自己負担となるため、数百万円以上の出費になることもある。

著者は標準治療に加え、自由診療も併用し、延命を目指したが、その費用は予想を超えて膨らんだ。がんの種類や治療方針によって必要な資金は大きく変わるため、いざという時に備えて、貯蓄やがん保険の加入を検討しておくことが重要だ。

衝撃の血液パネル検査結果

血液パネル検査とは、血液からDNAなどを取り出し、80種類ほどある「がん関連遺伝子」に変化があるかどうかを解析する検査だ。採血した血液サンプルをアメリカの検査機関に送付し、解析結果を送り返してもらう。この検査の結果で、がん本体がどこにあるのか見当がつく。

この検査は状況によっては保険適用となる場合もあるが、当時の著者の診断は、「すい臓がんのステージⅣ」で確定していたため、約50万円の検査費用が全額自己負担となった。また、検査結果が到着するまでは4週間ほどかかる。

東京のクリニックで受けた血液パネル検査の結果、すい臓がんの特徴的な遺伝子変異が見られず、診断が「すい臓がん」から「原発不明がん」に変更された。これにより、すい臓がん向けの抗がん剤治療は受けられなくなったが、代わりに「がん免疫療法」のオプジーボが保険適用で使用可能となった。

オプジーボは、ノーベル賞を受賞した京都大学の本庶佑ほんじょ たすく特別教授が発見した「がん免疫治療薬」で、免疫細胞の働きを回復させ、がんへの攻撃力を高める効果が期待される。

当初、オプジーボはとても高価な治療薬だった。平均投与期間は5ヵ月程度と言われるが、総コストが数千万円にも及んでいた。いまは薬価が大幅に下がったが、それでも5ヵ月の投与で、300万円程度の医療費がかかる。それが保険診療ということになれば、負担はケタ違いに小さくなる。

標準治療と自由診療

がん治療にかかる費用は「標準治療」か「自由診療」かで大きく異なる。

標準治療(保険診療)

  • 医療費3割負担(後期高齢者で所得の低い人は1〜2割)
  • 高額療養費制度(自己負担上限は収入により異なる)
  • 医療費控除(年間200万円まで適用)

たとえば、医療費が1000万円かかっても、自己負担は月額10万円台でとどまるケースがほとんどになる。

自由診療(全額自己負担)

  • 健康保険適用外のため、月200万円かかれば全額負担
  • 医療費控除の上限は年間200万円

著者はオプジーボを用いた標準治療に加えて、自由診療も併用し、少なくとも半年の延命を目指した。入院中に体調が回復し、書きかけだった『書いてはいけない』の原稿を完成。標準治療に移行しようとしたが、事態は思うようには進まなかった。

新しい治療法へのチャレンジ

著者は、「血液免疫療法」という新しい治療法に挑戦する決意をした。この治療法は自分の血液を培養してがんと闘う免疫細胞を大量に作り出し、再び体に戻す方法だが、非常に高額で、1ヶ月の治療費は約100万円。3ヶ月続けると300万円の自己負担となり、オプジーボや他の治療費を合わせると、3か月で400万円を超える。

著者はがん保険に加入していなかった。なまじ高額療養費制度の存在を知っていたものだから、保険診療の範囲内であれば、まったく問題はないと考えていた。まさか、原発不明がんになるとは夢にも思っていなかったのだ。

だから、著者のような原発不明という特殊なケースが起きた場合や、無理をしてでも延命をしなければならないことが想定される場合は、お金をある程度貯めておくか、がん保険の加入を検討しておくことが必要になるだろう。

血液免疫療法とオプジーボ併用の選択

選択する

著者は、がんの治療法に血液免疫療法とオプジーボの併用を選んだが、その道のりは決して平坦ではない。治療費は高額で、オプジーボの効果は数ヶ月で落ちてしまうため、迅速に結果を出さなければならないという現実に直面している。

しかし、著者は絶望せず、これまでの人生に悔いがないこと、そして「夢」ではなく実現すべき「タスク」をこなす意志を持って生き続けている。

血液免疫療法とがんとの闘い

著者は、抗がん剤による体調悪化の中で、くらたまさんと15分間のZoomでの会話を行った。くらたまさんのご主人である叶井俊太郎さんが、2023年10月にステージⅣのすい臓がんを公表したが、ステージⅢのすい臓がんを医師から宣告されたのは2022年6月で、そのときに余命半年と宣告されていたそうだ。

叶井さんは、抗がん剤の投与を拒否し、治療法として血液免疫療法を選択し、予想以上に長く生きたことを聞いた。叶井さんは2024年2月16日に亡くなったが、大幅な延命ができたことは間違いない。

しかし、くらたまさんは「でもね、全員に効果があるかどうかはわからないから、私は血液免疫療法を勧めてはいないんですよ」と冷静に語っていた。

同時期に、衆議院議員の原口一博さんからも長文のメールが届いた。原口さんは熱血漢なので、自分のがんからの生還について詳しく書いていた。彼が生還できたのは、血液免疫療法と高濃度ビタミン療法の併用だと言っていた。

さらに、ご本人から直接連絡もらったわけではないのだが、格闘家の竹原慎二さんも、血液免疫療法でがんからの生還を果たしていた。

血液免疫療法の選択

著者は、原発不明がんと診断され、オプジーボと血液免疫療法の併用を選択した。血液免疫療法は統計学的な根拠がないものの、くらたまさんの「けっして他人に推奨はしない」という言葉が背中を押した。

オプジーボは、診断が「原発不明」に変わったおかげで、保険診療の扱いになったので、自宅近くの病院で4週に一度点滴をすることになった。費用は3割負担で月額20万円程度だ。
一方の血液免疫療法は2週に一度のペースでやっていて、費用は1回50万円程度、1ヶ月で100万円ほどだ。

だた、決着は数ヶ月の間につけないといけない。なぜかというと、オプジーボの効果は数ヶ月経つと落ちてくるのが一般的で、それまでの間にがん細胞軍団を退治しなければならないからだ。もし、数ヵ月後にがん細胞軍団のほうが優勢になっていると、次に打つ手は限られてくる。

この方法を1ヶ月あまり続けた結果、造影CT検査ではがんの浸潤にわずかな縮小が見られたが、その後の検査では再び拡大しており、がん細胞との戦いは続いている。もしがん細胞が優勢になると、対処法として4つの選択肢が考えられる。

4つの対処法

  • 1.幅広いがんをターゲットに抗がん剤を打つ(効果が薄く、肉体への負担が大きい)
  • 2.健康的な生活に変え、免疫力を高める(仕事のセーブ、運動、野菜中心の食事、禁煙)
  • 3.がん治療の優先順位を下げて、やりたいことを優先する人生を選択(禁煙しない場合もあり)
  • 4.新しい治療法を試し、一発逆転を狙う(可能性があるものに賭ける)

正直、長く生きられない可能性が高いと思っているが、それに絶望することはない。これまでの人生、悔いのないように生きてきたし、今も生きているからだ。

多くの人が延命を望み、旅行や贅沢を楽しむことを考えるが、著者にはそうした欲求はない。やりたいことはその時にやってきたから、今は「夢」ではなく、実現すべき「タスク」をこなしている。

自由な生き方と自給自足の実践

農業

農業ほど知的な仕事はない

新型コロナの終息が見通せないなか、著者は「一人社会実験」に取り組むことにした。それは、家族が食べられるだけの野菜を自給するために、どれくらいの面積の畑が必要かを確かめることだ。何冊も本を読んだのだが、どこにもその答えは書いていなかった。

著者の奥様が近くの農家に頼み込み、1アール(100平米)の耕作放棄地を借りてきてくれた。それを鍬一本で耕し、土を作ることから農業生活が始まった。トマト、ナス、キュウリ、レタス、キャベツなど、20種類以上の野菜を育て、スイカやイチゴ、メロンにも挑戦した。

2年目には畑を2アールに広げた。3年間で分かったことは、1アールもあれば家族が食べる分の野菜は十分自給ができるということ。それと同時に痛感したのは、農業がいかに難しいかということだった。

最近は、品種改良が進んで、ベランダのプランターで育てられる背丈の低い野菜苗も販売されるようになった。ハルディンからは「プランターで栽培できるサツマイモの苗」も登場した。

著者は畑があるため、サツマイモをプランターで育てる必要はないのだが、家の庭でやってみようと考えている。なぜなら、多くの国民が自らの食料を生産するための重要な手段となり得るからだ。

というわけで、以上となります。
私も最近、ベランダのプランターで野菜作りを始めました。著者のように、悔いのない人生を送り、実現すべき「タスク」を一つひとつこなして生きていきたいと思います😌