3か月前、『とにかく仕組み化――人の上に立ち続けるための思考法』という本を読みました。この本では、企業が成功するためには基本理念が重要であると強調されています。このテーマをさらに深く理解するために、『ビジョナリー・カンパニー』を手に取りました。
『ビジョナリー・カンパニー』は、長期間にわたって成功を続ける企業の秘密を探る書籍です。この本では、優れた会社がどのようにして成功を続けているのか、その原則を明らかにしています。特に、ビジョナリー・カンパニーが基本理念を維持しつつ、進歩を促すための仕組みをどのように整えているのかについて詳しく説明されています。
以下に、本書の内容をまとめました。
12の崩れた神話
神話1: すばらしい会社をはじめるには、すばらしいアイデアが必要である
現実 「すばらしいアイデア」を持って会社をはじめるのは、悪いアイデアかもしれない。ビジョナリー・カンパニーには、具体的なアイデアをまったく持たずに設立されたものもあり、スタートで完全につまずいたものも少なくない。設立当初から成功を収めた企業の比率は、比較対象企業よりビジョナリー・カンパニーの方がかなり低かった。ウサギとカメの寓話のように、ビジョナリー・カンパニーはスタートでは後れをとるが、長距離レースには勝つことが多い。
神話2: ビジョナリー・カンパニーにはビジョンを持った偉大なカリスマ的指導者が必要である
現実 ビジョナリー・カンパニーにとって、ビジョンを持ったカリスマ的指導者はまったく必要ない。こうした指導者はかえって、会社の長期の展望にマイナスになることもある。ビジョナリー・カンパニーの歴代のCEO(最高経営責任者)のなかでもとくに重要な人物には、世間の注目を集めるカリスマ的指導者のモデルにあてはまらない人もおり、むしろ、そうしたモデルを意識して避けてきた人もいる。彼らは、偉大な指導者になることよりも、長く続く組織をつくり出すことに力を注いだのである。
神話3: とくに成功している企業は、利益の追求を最大の目的としている
現実 「株主の富を最大限に高めること」や「利益を最大限に増やすこと」は、ビジョナリー・カンパニーの大きな原動力でも、最大の目標でもない。ビジョナリー・カンパニーの目標はさまざまで、利益を得ることはそのなかのひとつにすぎず、最大の目標であるとはかぎらない。確かに、利益を追求してはいるが、単なるカネ儲けを超えた基本的価値観や目的といった基本理念も、同じように大切にされている。
神話4: ビジョナリー・カンパニーには共通した「正しい」基本的価値観がある
現実 ビジョナリー・カンパニーであるための基本的価値観に、「正解」と言えるものはない。ビジョナリー・カンパニーの基本的価値観は、内容よりもその価値観をいかに深く「信じて」いるか、そして、会社の一挙一動に、いかに一貫して理念が実践され、息づき、現れているかが重要である。
神話5: 変わらない点は、変わり続けることだけである
現実 ビジョナリー・カンパニーは、基本理念を信仰に近いほどの情熱を持って維持しており、基本理念は時代の流れや流行に左右されることはない。ビジョナリー・カンパニーの基本的な目的、つまり、存在理由は変わらないが、進歩への意欲が極めて強く、大切な基本理念を曲げることなく変化に対応している。
神話6: 優良企業は、危険を冒さない
現実 ビジョナリー・カンパニーは、「社運を賭けた大胆な目標」に臨むことをおそれない。大胆な目標は高リスクだが、人を引きつけ、やる気にさせ、前進への勢いを生む。ビジョナリー・カンパニーは、この目標をうまく使って進歩を促し、過去の重要な局面で、比較対象企業を打ち破ってきた。
神話7: ビジョナリー・カンパニーは、だれにとってもすばらしい職場である
現実 ビジョナリー・カンパニーは、その基本理念と高い要求にぴったりと「合う」者にとってだけ、すばらしい職場である。適応して活躍する者にとっては幸せな職場となるが、合わない者には厳しい環境である。
神話8: 大きく成功している企業は、綿密で複雑な戦略を立てて、最善の動きをとる
現実 ビジョナリー・カンパニーがとる最善の動きのなかには、実験、試行錯誤、臨機応変によって生まれたものが多い。ビジョナリー・カンパニーは、大量の試行を通じてうまくいったものを残す方針を持ち、これが結果として先見の明がある計画のように見えることが多い。
神話9: 根本的な変化を促すには、社外からCEOを迎えるべきだ
現実 ビジョナリー・カンパニーの歴史のなかで、社外からCEOを迎えた例はわずか4回、それも2社だけだった。ビジョナリー・カンパニーは、内部の文化や基本理念を理解し、維持しつつ変化を推進するために、内部からCEOを育成することを重視している。
神話10: もっとも成功している企業は、競争に勝つことを第一に考えている
現実 ビジョナリー・カンパニーは、自らに勝つことを第一に考えている。彼らは常に自己改善を追求し、その結果として競争に勝つことが多い。
神話11: 二つの相反することは、同時に獲得することはできない
現実 ビジョナリー・カンパニーは、二者択一を拒否し、「ANDの才能」を大切にする。短期的な成果と長期的な成果、高い理想と収益性など、相反する目標を同時に追求する。
神話12: ビジョナリー・カンパニーになるのは主に、経営者が先見的な発言をしているからだ
現実 ビジョナリー・カンパニーが成長を遂げたのは、経営者の発言が先見的だからではなく、基本理念を実践し、企業文化に根付かせるために多くの手段を用いた結果である。
ビジョナリー・カンパニーは、基本理念を守りながら進歩への意欲を持ち、単なる利益追求にとどまらず、広い視野で意義ある理想を追求しています。ビジョナリー・カンパニーの成功は、利益の最大化ではなく、基本理念を徹底することにあります。
会社そのものを究極の作品として捉え、その成長に対して粘り強く取り組むことをお勧めします。
というわけで、今回は以上です。
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございます。